Nature ハイライト 気候:北半球の氷床はいつ生じたか 2005年7月21日 Nature 436, 7049 5,000万年ほど前の地球は温暖で、現在グリーンランドや南極大陸で見られる氷冠のような氷床もなかった。A Tripatiたちは、3,400万年前に南極の氷床が成長を始めたときに、従来は過去1,000万年以内に形成が開始されたと考えられてきた北方の氷床も形成が始まったと考えている。この研究では、このような気候変動は炭素循環の変化に密接に関連していたとしている。 この研究チームは、氷床発達と炭素循環の指標である酸素同位体比と炭素同位体比が4,200万年前に点滅する電球のように激しく振動を始め、来るべき変化の兆候を示していたことを発見している。3,400万年前までにこれらの指標は新しいレベルに落ち着いたが、それ以前の値とは大きく異なっていて、これは南極大陸の氷床発達だけでは説明できない。したがって北半球でもある程度氷床が発達したと考えられる。炭酸カルシウムの堆積量もこれと同時期に変化しており、炭素循環が重要な役割を果たしたことを示唆している。 北半球の氷河形成開始が従来考えられていたより2,000万年以上早かったとすると、地球が「温室気候」から現在の「氷室気候」へと低温化した機構については、再考の必要がありそうだ。 「A Tripatiたちは、氷河状態へ永続的に移行するのに先立つ気候システムについて、今までよりもずっと詳しい説明を与えている」とL KumpがNews and Viewsで述べている。 2005年7月21日号の Nature ハイライト 医学:RBP4タンパク質は糖尿病にかかわっている 宇宙:小惑星エロスを震撼させた隕石衝突 物理:原子間を電子が跳躍するのにかかる時間 気候:北半球の氷床はいつ生じたか 生物多様性:海底下で繁栄する細菌たち : 目次へ戻る