Nature ハイライト
物理:量子気体と結合した単一電子
Nature 502, 7473
電子と物質との結合は、電気伝導性や超伝導などの重要な材料特性の基礎となる。J Balewskiたちは、非常に純粋な形でこの結合を研究可能にする新しい実験系を作り出した。それは、ボース・アインシュタイン凝縮体すなわち極低温量子気体と相互作用する1個の局在電子である。この電子は、凝縮体中の複数個のルビジウム原子のうちの1個によって与えられ、非常に高いエネルギー準位に励起されるが、それでもなお電荷を持つ原子核に束縛されている。こうした「リュードベリ状態」では、電子の軌道が8 μmにまで広がって凝縮体と同程度の大きさになるため、この電子は数万個の原子と相互作用できる。著者たちは、将来この系を使って、電子軌道画像化の実験、単一電子のフォノン媒介結合の研究、量子光学への応用などが行われるだろうと予想している。
2013年10月31日号の Nature ハイライト
構造生物学:Pol Iの構造を決定
宇宙:銀河間に早期に出現した金属
量子物理学:注文に応じてレビトンを作る
物理:量子気体と結合した単一電子
地球:乾燥は乾燥生態系の栄養バランスを脅かす
生態:動物であるサンゴも行うDMSP生合成
生物物理:タンパク質折りたたみの動態を記述する
分子生物学:減数分裂での乗換えを制限する機構
構造生物学:高分解能低温電子線トモグラフィーによるファージの観察