Nature ハイライト
生態:動物であるサンゴも行うDMSP生合成
Nature 502, 7473
ジメチルスルホニオプロピオナート(DMSP)は広範に分布する代謝産物で、海洋細菌によって揮発性の気体であるジメチルスルフィド(DMS)に変換される。DMSは大気への硫黄の主要な供給源で、雲の形成に寄与することで気候に影響を与える。今回J Rainaたちは、一般的な造礁サンゴ種であるハイマツミドリイシ(Acropora millepora)およびウスエダミドリイシ(A. tenuis)の2種が、単独でDMSPを産生することを報告している。これまでDMSPは、藻類(サンゴへの共生種を含む)や一部の植物によってのみ産生されると考えられていたので、この結果は実に意外なものだ。また、DMSP生合成は、動物であるサンゴが熱ストレス条件下で生存するのに役立っている可能性がある。この知見は、サンゴやその共生者に全球規模の環境変化が与える影響に対して、DMSP産生がどのように応答するかにも関わってくる可能性がある。
2013年10月31日号の Nature ハイライト
構造生物学:Pol Iの構造を決定
宇宙:銀河間に早期に出現した金属
量子物理学:注文に応じてレビトンを作る
物理:量子気体と結合した単一電子
地球:乾燥は乾燥生態系の栄養バランスを脅かす
生態:動物であるサンゴも行うDMSP生合成
生物物理:タンパク質折りたたみの動態を記述する
分子生物学:減数分裂での乗換えを制限する機構
構造生物学:高分解能低温電子線トモグラフィーによるファージの観察