タンパク質の生化学的性質に関する未解決の難問、つまり機能を持ったタンパク質を作るのに、必要かつ十分な情報はどんなものかという問題に答えが得られた。タンパク質の折りたたみとは、無秩序なコンホメーションをとっている長く伸びたタンパク質の鎖が、きちんとした構造へと自律的に折りたたまれていく過程であり、多くの場合、こうした構造は細胞内で特異的な機能を持つ。 R Ranganathanたちはコンピューターを用いたタンパク質設計という方法により、小型の人工WWドメインを複数構築した。このWWドメインは、WWタンパク質ファミリーに特徴的な原子配置を持つように折りたたまれ、天然のWWタンパク質とまったく同じようにプロリンを含むペプチドを認識する。これらのタンパク質の設計に使われた情報は、複数のアミノ酸配列のアラインメントだけから得られたもので、三次元構造については事前にはまったくわかっていなかった。多くのタンパク質は三次元構造が解明されていない。そこで、わからない三次元構造を予測したり、あるいは天然には存在しないが生物活性を備えた新規タンパク質を設計したりする場合には、タンパク質の折りたたみと進化の解明は非常に重要である。