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医学:1918年のインフルエンザ大流行は鳥インフルエンザウイルスが原因

Nature 437, 7060

1918年から1919年にかけて約5000万人の命を奪った「スペイン風邪」ウイルスの最後の3つの遺伝子について塩基配列が解読された。それによると、このウイルスは当時のヒトにとってまったく新しい要素をもっており、そのために非常に毒性が強くなったらしい。またこの1918年ウイルスも、現在極東地域で広がりつつあるH5N1鳥インフルエンザウイルス株に見られるのと同じ変異をいくつか持っており、この種のウイルスはすでにヒトに適応したウイルス株とあらかじめ組換えを起こさなくても、重い感染を引き起こせる可能性があることがわかった。  J Taubenbergerたちは、犠牲者の遺体標品から単離された1918年ウイルスの完全なタンパク質コード配列を組み立てる作業を1995年に開始したが、それがこのほど終了した。これまでに、ウイルスゲノムの5つの遺伝子含有領域について塩基配列が解読されているが、Taubenbergerたちが今回新たに解読した遺伝子(ヒト細胞内でのウイルスの複製に不可欠なポリメラーゼをコードしている)には、鳥でしか見られないウイルス株の持つ遺伝子と際立った類似性が見られた。  これは、1957年と1968年のヒトでの大流行の原因となったウイルス株とは対照的である。この2つのウイルス株は、ヒトに適応したウイルス株と組換えを起こして「殺人ウイルス」に変化したらしい。1918年ウイルスと現在のH5N1とに共通する変異は、ウイルスの複製効率を上げる働きをする可能性があり、これらのウイルスがあれほど伝染性の強い病気を引き起こした理由はおそらくこれで説明できるだろう。

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