Nature ハイライト 材料:人工的に作られた昆虫の「スーパーゴム」 2005年10月13日 Nature 437, 7061 ノミが跳ねたりセミが鳴いたりできるのはレシリンと呼ばれる弾性タンパク質のおかげだが、このタンパク質をベースにしたポリマーが実験室で作られた。このポリマーは、ゴムのような極めて高い弾力性と復元力を備えている。 レシリンは多くの昆虫に見られる。C Elvinたちは、レシリンの弾性を持つ部分を作り出す役割を担うと考えられる遺伝子をショウジョウバエから取り出して大腸菌に組み込むことにより、新しい材料を作った。昆虫の遺伝子をもつ大腸菌の培養によって大量の弾性ペプチドが作られ、これを抽出してから光処理を加えて最終的な弾性材料ができあがった。 合成レシリンは、元の長さの3倍以上に引き伸ばしても切れることがない。Elvinたちは、この材料は、動脈のエラスチンなど、人体中の類似物質の代替品として使えるだろうと考えている。 2005年10月13日号の Nature ハイライト 古人類:やはり実在した「ホビット」原人 宇宙:ディープインパクトが明らかにした彗星の組成 材料:人工的に作られた昆虫の「スーパーゴム」 神経:コカインが記憶に及ぼす作用を解明する 微生物:菌類から単離された抗菌ペプチド 医学:染色体数の異常で癌が生じる : 目次へ戻る