Nature ハイライト

神経:コカインが記憶に及ぼす作用を解明する

Nature 437, 7061

コカイン使用などの薬物乱用は、脳の腹側被蓋野(VTA)中のドーパミン性ニューロンの可塑性を変化させることがある。新たな研究で、ラットに長期間にわたってコカインを繰り返し投与すると、VTAでの薬物関連記憶の形成が影響を受ける可能性が示された。コカインは、これらのドーパミン性ニューロンが形成する接合部位の長期増強を促すらしい。長期増強は、記憶の形成を促進すると考えられている過程である。  M-m Pooたちは、ラットにコカインを繰り返し投与すると、in vitroで中脳組織由来のニューロンの接合部位が長期増強を起こしやすくなることを見いだした。また、神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)を介して、こうしたニューロンの抑制を促す作用を持つ不安緩解薬ジアゼパムが、長期増強を遮断することも明らかにした。この結果は、コカインがGABAのニューロン抑制作用を減らすように作用することを示している。また今回の知見は、コカイン中毒の治療薬として現在臨床試験が行われている抗てんかん薬γ-ビニルGABA(ビガバトリン)の作用を説明するのにも役立ちそうだ。

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