ミツバチが巣の仲間に餌のありかを伝えるために使う「ダンス言語」は、実際どの程度有効なのだろうか。今回、新しい研究によってその有効性が初めて評価された。こうした尻振りダンスを見たあとのミツバチを追跡したところ、ダンスによる指示は確かに役に立つが、ぴたりと正確にその場所を特定できるほどではないことがわかった。 尻振りダンス仮説を最初に唱えたのはノーベル賞を受賞した動物学者カール・フォン・フリッシュだが、最近この説は、ダンスを見たミツバチが常に食糧を見つけるわけではないと指摘する研究者たちによって攻撃を受けている。しかし今週号のJ R Rileyたちの報告によると、ミツバチが餌を見つけられない場合があるのは、指示された場所に到着してからさらに食糧がどこにあるかを自分で探さねばならないからだという。 Rileyたちは、尻振りダンスを目撃したミツバチを捕まえて、極小の無線追尾装置を取りつけた。すると、すべてのミツバチが正しい方向に飛び立ち、餌場の近くに到着したが、その後食糧源を突き止めるには視覚や匂いを手がかりにしなければならなかった。さらに、ミツバチを巣箱のすぐ近くで捕まえて別の場所で放すと、ハチたちは本来の目的地と同じ距離と方向にある「間違った」目的地に飛んで行った。このことからハチたちは行き方の指示に従っていたことがわかる。「我々の願いは、今回の研究結果がフォン・フリッシュの説の正しさを立証するものとしても受け入れられることだ」とRileyたちは述べている。