Nature ハイライト
神経科学:再発につながるコカイン誘発性脳変化
Nature 509, 7501
依存性薬物は、側坐核などの、行動反応を制御するさまざまな脳領域にシグナルを送る統合的脳中枢の神経回路を乗っ取ると考えられている。薬物に関連した手がかりは、このような乗っ取りがあるために薬物探索行動を誘発する強い引き金になり、薬物摂取中止後に、依存が再発する可能性を上昇させる。今回C Lüscherたちは、マウスの前前頭皮質または腹側海馬から発し、側坐核内の別個のドーパミン作動性神経集団と結合する突起の特定の神経回路に、コカイン摂取による変化が起こることを見いだした。これら2つの回路の薬物に誘発された可塑性を操作すると、薬物探索行動が消失するが、一方の回路のみの可塑性の破壊でも薬物応答の識別や手がかり応答の強さが低下する。これらの知見から、側坐核での情報統合の基盤となる可塑性機構の存在が明らかになり、コカインなどの薬物がこの可塑性を変化させて再発を許す仕組みが分かった。
2014年5月22日号の Nature ハイライト
神経科学:再発につながるコカイン誘発性脳変化
がん:胸腺の老いたT細胞に取って代わる新しい細胞
宇宙:IIb型超新星に進化するウォルフ・ライエ星
量子物理学:安全な量子暗号の効率をもっとよくする
地球:カリフォルニア中部の隆起を駆動する地下水の枯渇
免疫:腸粘膜の抗炎症性IL-10
生化学:血液脳関門を構築する
構造生物学:好アルカリ性細菌Bacillus halodurans由来YidCの構造