Nature ハイライト
量子物理学:安全な量子暗号の効率をもっとよくする
Nature 509, 7501
量子暗号では、量子状態に信号を載せた情報を2者間で秘密裏に交換できるが、これは盗聴しようとする試みはどのようなものであれ、検出可能な乱れを生み、この乱れが傍受される情報の量と相関するためである。しかしこの場合は、交換される情報の一部を犠牲にし、それを使って、可能となるあらゆる盗聴を推定しなければならない。このような妥協のために、安全に情報を交換できる効率が制限される。小芦雅斗(東京大学)たちは、この最終段階を省略した新しい方法を実証している。このプロトコルは、レーザーパルスを使って数百の量子系に量子情報を広めることによって機能する。盗聴者は数ビットを傍受できるが、固有のランダム性のためにその鍵を決定することがほぼ不可能になる。使われるレーザーは通常のものでよく、安全性を監視する費用が不要となるため、この方法は非常に実用性の高いものとなる可能性がある。
2014年5月22日号の Nature ハイライト
神経科学:再発につながるコカイン誘発性脳変化
がん:胸腺の老いたT細胞に取って代わる新しい細胞
宇宙:IIb型超新星に進化するウォルフ・ライエ星
量子物理学:安全な量子暗号の効率をもっとよくする
地球:カリフォルニア中部の隆起を駆動する地下水の枯渇
免疫:腸粘膜の抗炎症性IL-10
生化学:血液脳関門を構築する
構造生物学:好アルカリ性細菌Bacillus halodurans由来YidCの構造