Nature ハイライト

遺伝:注目が集まる遺伝子同士の関係

Nature 435, 7038

さまざまなゲノムでごく小さな領域が、はっきりわかる影響を生じる働きについては近年の研究で立証されている。しかし、こうした働きも、場合によってはなかなか見えてこないことが新たな研究で明らかになった。 J KroymannとT Mitchell-Oldsはモデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)について、一見したところ成長速度に影響しないようなDNA領域を調べてみた。詳細に調べているうちに、この領域にはそれぞれの作用を互いに打ち消し合う遺伝子が含まれていることがわかった。2個の遺伝子間に生じるこのような抑制的相互作用は、遺伝学ではエピスタシスと呼ばれている。これは問題の領域が実際には植物の成長に影響を及ぼしている可能性を示している。 著者たちは、植物の成長速度のような形質に関わる遺伝子の相互作用、さらにはヒトの糖尿病や高血圧症などの複合遺伝形質に関わる遺伝子間の相互作用について、再考の必要があるかもしれないと考えている。

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