Nature ハイライト

物理:古い光に替わる新しい光

Nature 431, 7005

非線形光学特性を持ついくつかの物質の1つに光子1個を照射すると、反対側から光子2個が出てくる。無から有が生じたかといえば、全面的にそうとはいえない。この2個の新しい光子は元の光子よりエネルギーが低くなる(そのため、生まれた光子の電磁スペクトルはより波長が長い方に移る)。ところが、この2個の光子は「もつれ合って」おり、そのため、量子計算やその他の量子を利用した応用に十分適した性質を持つ。この過程はパラメトリック下方変換と呼ばれ、量子もつれ光子を生成する最も優れた方法である。しかし新たな問題がある。すなわち、パラメトリック下方変換は、3個あるいは4個の光子間でさらに量子もつれ合いを生成するのに適していない。最初の光子が極めて高いエネルギーを持っている必要があるためだ。枝松圭一たちはこの問題を解決する方法についての研究を行ってきた。そして、共鳴ハイパーパラメトリック散乱(RHPS)と呼ばれる過程を用い、半導体である塩化第一銅単結晶に紫外域での量子もつれ光子対を生成した。彼らが指摘しているように、半導体を使った量子もつれ光子源は実際の量子技術で利点があることははっきりしている。この結果によって、電流で駆動される単一光子源と同様に、電流注入によって量子もつれ光子を生成する道が開かれると著者たちは期待している。

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