Nature ハイライト

ナノテクノロジー:カーボンナノペーパー

Nature 433, 7025

二層カーボンナノチューブ(DWNT)の有望な特性を、ようやく詳しく研究できそうだ。今週号に発表された新しい製造工程により、不純物を含まない同軸DWNTでできた、紙のように薄いシートが効率よく作製できるようになったのである。 単層カーボンナノチューブは非常に強く、1,000℃まで安定で、ほとんど欠陥がない。また、金属にも半導体にもなるし、量子応用の可能性もあると考えられている。すでにトランジスタのような電子デバイスの製作に使われており、超強力繊維からなるナノ複合材料も実現間近かもしれない。 しかしこれまで、このような基本的な特性における二層目の効果を研究するための、十分にきれいなDWNTを作ることができなかった。遠藤守信たちは、標準的な手法で大量の混成ナノチューブを合成してから、まず塩酸処理を行って、次に大気中で酸化させるという2段階の反応でこの混合物を精製した。この方法で、ほとんどすべてが整然とした六方晶の形に束ねられたDWNTの束で構成されたナノペーパーが作られた。 DWNTは同軸構造をしているため、単層カーボンナノチューブよりさらに優れた電子的・力学的特性をもつと考えられるが、その答えはこの純粋でしなやかなナノペーパーから得られることだろう。

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