昨年のクリスマスの2日後、天文観測用のガンマ線検出器が、天体のガンマ線源に由来する非常に明るい衝撃的なパルスをとらえた。これは中性子星SGR 1806-20で発生したもので、太陽が数十万年かけて放射するのと同量のエネルギーが0.2秒以内に放出されたのである。SGR 1806-20は、「軟ガンマ線リピーター」、つまり強磁場を有するきわめて高密度の中性子星(マグネター)で、短時間のガンマ線バーストやX線バーストを繰り返し放射している。今週号に掲載された5編の論文には、この現象の検出についての報告と、SGR 1806-20の対応天体で、天空の同一点で電波を放射する電波源をバースト直後に検出したことが報告されている。K Hurleyの率いる国際協力チームは、太陽観測衛星RHESSI (Reuven Ramaty High Energy Solar Spectroscopic Imager)でバーストの検出と測定について報告している。このチームは、マグネター表面での「星震」で磁場がほどけたことで、この異常に大量のエネルギー放出が生じたと考えている。D Palmerたちはこの考えに賛成し、NASAのガンマ線観測衛星Swiftに搭載したガンマ線検出器BAT(Burst Alert Telescope)でこのバーストがどのように見えたかを報告している。実際このバーストはあまりにも強大だったので、ほとんどすべてのガンマ線検出器が「振り切れて」しまい、真のシグナル強度やその時間変化を測定することができなかった。しかし寺沢敏夫たちの研究チームは、日米共同プロジェクトの磁気圏観測衛星Geotailに搭載した検出器で、フレアの最初の0.6秒間に測定した飽和していないシグナルを示している。この結果からは、ガンマ線シグナルの上昇と下降を非常に詳しく知ることができ、フレア生成過程を解明する最高の手がかりが得られると期待される。電波対応天体は、B GaenslerたちとP B Cameronたちによって検出された。バーストそのものから数日後に見られたこの電波の輝きは、光速の4分の1の速度で膨張する、マグネター周囲の高温ガス雲により生成されている。Cameronたちによると、この電波対応天体は、当初SGR 1806-20について考えられていたよりも近く、約21,000光年から32,000光年の距離にあるように見え、したがってバーストのエネルギーは当初考えられていたよりも幾分小さくなり、約10分の1である可能性があるという。