Nature ハイライト

発生:性別をねじ曲げる

Nature 426, 6964

マウスの遺伝子3個をノックアウトするという骨の折れる研究によって、インスリン受容体ファミリーが雄の性的発達に果たす意外な役割が新たに明らかにされた。Y染色体の遺伝子Sryが精巣を発生させる仕組みの解明に向け一歩前進した。 L F Paradaたちは、インスリン受容体ファミリーに属する3種類の受容体全てについて遺伝子の機能が失われたマウス胚を作成した。これらの遺伝子は、成長と代謝のさまざまな面を調節している。遺伝子を1個だけノックアウトしたマウス3種類はどれも、性的発達に欠陥は見られなかった。 ところが1本のX染色体と1本のY染色体に3種類の遺伝子のノックアウトが起こった胚は、発生のごく初期に雄から雌へと、性の完全な逆転が起こった。その生殖腺は、外見も卵巣特異的遺伝子の発現も正常なXXの卵巣とよく似ていたが、精巣の標識となる遺伝子の発現はなかった。 3種類のインスリン受容体はSryの上流で働いて性の決定を制御するようだが、Sryの発現に絶対に必要ではないらしいと、P KoopmanがNews and Viewsで述べている。

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