カーボンナノファイバーの成長を初めてリアルタイムに捉えた画像が今週号で報告され、繊維が形成される様子がかなり明らかになった。カーボンナノファイバーは、エレクトロニクス、建築、衣料品など多岐にわたる産業分野での用途が見つかっている。この繊維を「紡ぐ」方法のひとつに、直径20 nm以下(血液細胞の100分の1ぐらいの大きさ)の小さいニッケル触媒の微粒子に炭素を豊富に含む蒸気を送るやりかたがある。 S Helvegたちは、ファイバー形成の過程を見るために電子顕微鏡を用い、ニッケル粒子がゴムまりを握りしめるような動きによって周期的に伸びたり縮んだりしてナノファイバーを編み上げる様子を観察した。ひし形に押しつぶされた触媒粒子は、炭素原子が巻きつく鋳型として働く。このことから、より大きな粒子が有効な触媒にならないのは、単に伸縮性が不足しているためと思われる。P AjayanはNews and Viewsで、「彼らの研究はいくつもの大きな実験的障害を乗り越えナノファイバーの成長過程を初めて直接見たもので、ナノテクノロジーのファイバー合成をもっとうまく制御する道を開くものだ」と述べている。