国際コンソーシアムによる、ヒトゲノムの遺伝子を含む領域の完全塩基配列解析結果が発表された。また、もう1つの関連した研究では、広く使われているゲノムの塩基配列決定法が、考えられているほど正確ではない可能性があると注意を促している。2001年2月、国際ヒトゲノム配列決定コンソーシアム(IHGSC)と民間企業セレラ社それぞれが、ヒトゲノム配列の概要版を完成したと発表した。しかし当時は、どちらの結果においても、かなり大量の配列が抜けていたし、配列の再構成に誤っている部分があった。IHGSC最新版の配列ではギャップは341か所だけであり、ゲノムの遺伝子を含む領域の99%がカバーされ、エラー率は100,000塩基に1個と低い。これらのデータ解析から、ゲノムの新たな特徴が明らかになった。たとえば、全遺伝子数の推定値はさらに細かく20,000〜25,000個の間となり、そのうち1,183個は、ごく最近に既存の遺伝子が重複してできたものであることがわかった。もうひとつの論文ではE Eichlerたちが、この最新の塩基配列とセレラ社がつくった初期のゲノム概要配列とを比較している。その結果、セレラ社が採用し、今では多くの研究グループに利用されている「全ゲノムショットガン」法は、重複した領域を多数見落としていて、その生物のゲノムの正しい姿を伝えていない可能性があることがわかった。ショットガン法では、ゲノムをばらばらに切断し、ランダムな断片の塩基配列を決定したのちに、それらをコンピューターでつなぎ合わせる。この方法に、もっと古典的な、ゲノムを区切って順番に解読していく方法を組み合わせて使うのがよいだろうと、Eichlerたちは述べている。今後は、ゲノムの残る部分、すなわち遺伝子を含まない部分の解読に取り組む必要があると、L SteinがNews and Viewsで述べている。