Nature ハイライト

細胞:Seladin-1がもつ意外な制御作用

Nature 432, 7017

癌の発生に対する哺乳類細胞の防御機構の構成因子が、新たに見つかった。このSeladin-1という遺伝子は、これまではアルツハイマー病やコレステロール代謝と関係があるとされていたので、意外な発見であるといえる。 癌遺伝子の発現は癌細胞の発生に結びつくことがあるが、このような脅威にさらされると、細胞の老化プログラムが作動し、これが腫瘍形成と闘う武器となると考えられている。K Galaktionovたちは、遺伝子スクリーニングを行って、Seladin-1がRasタンパク質の引き起こす老化に関与することを発見した。ラットやヒトの線維芽細胞でSeladin-1をノックアウトすると、Rasが引き起こすはずの老化が回避され、Ras活性が制御をうけなくなるために細胞が癌化する。Seladin-1のこの制御作用の核心となるのは、発癌性ストレスや酸化ストレスによって起こるSeladin-1と癌抑制タンパク質p53との相互作用である。

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