Nature ハイライト 細胞:Seladin-1がもつ意外な制御作用 2004年12月2日 Nature 432, 7017 癌の発生に対する哺乳類細胞の防御機構の構成因子が、新たに見つかった。このSeladin-1という遺伝子は、これまではアルツハイマー病やコレステロール代謝と関係があるとされていたので、意外な発見であるといえる。癌遺伝子の発現は癌細胞の発生に結びつくことがあるが、このような脅威にさらされると、細胞の老化プログラムが作動し、これが腫瘍形成と闘う武器となると考えられている。K Galaktionovたちは、遺伝子スクリーニングを行って、Seladin-1がRasタンパク質の引き起こす老化に関与することを発見した。ラットやヒトの線維芽細胞でSeladin-1をノックアウトすると、Rasが引き起こすはずの老化が回避され、Ras活性が制御をうけなくなるために細胞が癌化する。Seladin-1のこの制御作用の核心となるのは、発癌性ストレスや酸化ストレスによって起こるSeladin-1と癌抑制タンパク質p53との相互作用である。 2004年12月2日号の Nature ハイライト 環境:酷暑の原因は人間にあった? 医学:癌遺伝子の役割が判明 量子情報科学:誤り訂正の方法 医学:血管細胞と造血細胞に共通の前駆体 細胞:Seladin-1がもつ意外な制御作用 化石:翼竜のオムレツ 目次へ戻る