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環境:酷暑の原因は人間にあった?

Nature 432, 7017

2003年夏にヨーロッパを襲ったような地域的な熱波の発生リスクは、人間活動が及ぼす影響で少なくとも2倍大きくなったとP Stottたちが報告している。 2003年の夏は、西暦1500年以降のヨーロッパで最も暑い夏だったと考えられている。フランス、ドイツ、イタリアでは、例年の夏に予想されるより多くの死者が出たと報告された。しかし、この熱波の原因は人間が気候に与えた影響にあったのだろうか。気候モデルを、温暖化ガスを計算に入れた場合とそうでない場合で統計的に評価した結果、この年のような地域的な夏季の熱波が発生するリスクは、過去の人間活動の影響を受けて少なくとも2倍は高くなっているようだという結論が得られた。さらにStottたちの最良の推定値では、この値は4倍に跳ね上がる。 「今回のような緻密な研究は、(略)地球温暖化対策をめぐる国際交渉の行く末に大きな影響を及ぼすだろう」と、C SchärとG JendritzkyがNews and Viewsで述べている。また、Stottの共同研究者の一人であるM Allenと環境法の専門家R Lordは、気候に悪影響をもたらした法律上の責任の所在についてCommentaryで論じている。

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