Nature ハイライト
分子生物学:HP1αが可逆的な液滴を作る
Nature 547, 7662
ヘテロクロマチンの遺伝子サイレンシング活性は、クロマチンを凝縮させてリプレッサーを引き寄せるHP1のようなタンパク質が広がることによって生じると考えられている。今回2つのグループから、HP1αには相分離した液滴を形成する能力があることを示す報告が寄せられている。G Karpenたちは、ショウジョウバエ(Drosophila)の胚でヘテロクロマチン領域が形成される早い段階に、HP1αが核となって液体の性質を示す点が形成されることを明らかにしている。一方G Narlikarたちは、ヒトのHP1αタンパク質も相分離した液滴を生じさせることを明らかにしている。リン酸化やDNAの結合が、可溶性の水相からのHP1αの物理的な切り離しを促進する。これらの関連する知見から、ヘテロクロマチンの抑制作用にはHP1の相分離が関わっているものがあって、核の状況に応じてさまざまなリガンドによって液滴が生じたり消失したりしていることが示唆される。
2017年7月13日号の Nature ハイライト
遺伝学:IBD座位の精細マッピング
細胞生物学:アグリンによるマウス心臓の再生
量子物理学:量子法則の制限を回避する
生物地球化学:北極ツンドラにおける水銀の吸収
地球科学:水酸化物は圧力下でも安定を保つ
免疫学:個別化がんワクチンの臨床試験
発生生物学:心臓細胞を妨げるDGC
分子生物学:HP1αが可逆的な液滴を作る