Nature ハイライト

がんゲノミクス:小児がんゲノムの全体像

Nature 555, 7696

小児がん発症の原因となる遺伝的変化は、成人がんに対するものほどは研究されていない。今回2報の論文が、小児がんの全がん解析としては最初のものとなる研究成果について報告している。S Pfisterたちは、小児、青年、若年成人を含む914人の若いがん患者に由来する961の腫瘍について、生殖系列ゲノムと体細胞ゲノムを調べた。この腫瘍試料は、最も頻発し、臨床的に意義のある小児がんを含む、分子的に異なる24タイプのがんから構成されていた。研究チームは、体細胞変異頻度、構造多様性やコピー数変化などのゲノム変化、変異シグネチャーの特徴を明らかにした。全タイプのがんに二本鎖切断修復の欠損に関連するシグネチャーが見られることが分かり、また、患者の7.6%が、がんの素因の候補遺伝子内に病原性と考えられる生殖系列バリアントを持っていることが示された。一方、J Zhangたちは、小児の白血病や固形腫瘍の1699試料について、ゲノム、エキソームおよびトランスクリプトームを解析した。その結果、小児がんにおける142のドライバー遺伝子が突き止められ、その半分以上が単一の組織型に特異的であることが分かった。さらに、コピー数変化や構造多様性の特徴が明らかになり、11の変異シグネチャーも突き止められた。総合すると、これらの論文は、一般的な小児腫瘍のゲノム変化に関する包括的な情報源になり、また、成人がんに見られるゲノム変化との比較において、その差異を浮き彫りにしている。

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