Nature ハイライト

神経生理学:静止状態にある酸センサー

Nature 555, 7696

酸感受性イオンチャネル(ASIC)はプロトンに依存してゲート開閉が起こるチャネルで、炎症や虚血性傷害から生じる細胞外酸性化に応答する。ASICの構造の一部の詳細は複数の研究により明らかになっているが、生理機能に関係のある静止状態についてはまだ分かっていない。今回E Gouauxたちは、ニワトリ(Gallus gallus)のASIC1aの高pHでの構造を結晶学的方法とクライオ(極低温)電子顕微鏡法の両方を使って明らかにしている。これらのデータは、生化学研究の結果と共に、ASICなどの上皮ナトリウムチャンネル/デジェネリンスーパーファミリーで起こるゲート開閉と調節の分子機構についての手掛かりをもたらすものである。今回得られた構造には、広がった酸ポケットが含まれており、これはプロトンに曝露されるとpalm(手のひら)ドメイン中のリンカーの働きによって小さくなる。このリンカーはクラッチとして働いて、チャネル下部から酸ポケットを引き離す。

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