Nature ハイライト
生物工学:大腸がん細胞の多様化
Nature 556, 7702
がんは単一細胞あるいは少数の細胞群から始まり、それが増えることで、増殖を続ける細胞集団が生み出される。M Strattonたちは今回、個々の大腸がん内の細胞のゲノム多様化を調べた。彼らは、3人の大腸がん患者から提供されたがん組織とがんに隣接した正常組織から、複数の単一細胞に由来するオルガノイドを作製し、体細胞変異率を解析した。その結果、大腸がん細胞では、正常な大腸細胞に比べて、体細胞変異が数倍多いことが明らかになった。ほとんどの変異は、がんの最終段階で発生してきた優性クローンが増殖する間に獲得されたものであり、がんに特有の変異過程に起因していた。また著者たちは、同一の腫瘍からの細胞間で、抗がん剤に対する応答が異なることも示している。この結果は、大腸がん細胞における腫瘍内多様化の特性を明らかにする上で、オルガノイド系が使用できることを示している。
2018年4月26日号の Nature ハイライト
生物工学:大腸がん細胞の多様化
腫瘍生物学:がん細胞におけるEMTと転移
量子物理学:エンタングルメントのスケールアップ
地球科学:余震が地球の下部地殻に及ぼす衝撃的効果
気候変動生態学:白化したグレートバリアリーフのその後
免疫学:炎症経路における求電子性のイタコン酸
神経科学:エネルギーバランスにおけるレプチンの役割の背後にある脳回路
構造生物学:NMDA受容体の働きを遮断する
構造生物学:NPY受容体の構造