Nature ハイライト

生物工学:大腸がん細胞の多様化

Nature 556, 7702

がんは単一細胞あるいは少数の細胞群から始まり、それが増えることで、増殖を続ける細胞集団が生み出される。M Strattonたちは今回、個々の大腸がん内の細胞のゲノム多様化を調べた。彼らは、3人の大腸がん患者から提供されたがん組織とがんに隣接した正常組織から、複数の単一細胞に由来するオルガノイドを作製し、体細胞変異率を解析した。その結果、大腸がん細胞では、正常な大腸細胞に比べて、体細胞変異が数倍多いことが明らかになった。ほとんどの変異は、がんの最終段階で発生してきた優性クローンが増殖する間に獲得されたものであり、がんに特有の変異過程に起因していた。また著者たちは、同一の腫瘍からの細胞間で、抗がん剤に対する応答が異なることも示している。この結果は、大腸がん細胞における腫瘍内多様化の特性を明らかにする上で、オルガノイド系が使用できることを示している。

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