Nature ハイライト
がん:変異型KRAS特異的阻害剤への抵抗性を解明する
Nature 577, 7790
変異型KRAS特異的な阻害剤は、この発がん性タンパク質が不活性型のコンホメーションをとっている時に結合して阻害する。P Litoたちは今回、臨床試験中のKRAS阻害剤を投与した肺がんマウスモデルを使って単一細胞解析を行い、阻害回避機構と不均一な応答を明らかにしている。休止状態の細胞は不活性型KRASへの阻害剤の結合によって除去できるが、一部の細胞は、新たにKRASを合成し、上流のシグナルによって活性型で薬剤抵抗性のコンホメーションに移行することで迅速に適応してしまうことが分かった。この知見は、細胞状態とシグナル伝達経路に見られる不均一性が、がんでの標的化療法の全体的な転帰を決定し得る仕組みを明らかにしている。
2020年1月16日号の Nature ハイライト
ナノテクノロジー:シリコン中のドーパントを用いる機械学習
材料科学:透明な圧電体
材料科学:共晶の格子細工
マラリア:マラリア媒介蚊における殺虫剤抵抗性機構
古生物学:最後のホモ・エレクトス
アルツハイマー病:アルツハイマー病におけるT細胞
幹細胞:幹細胞は免疫応答を誘導して心機能を改善する
免疫学:腸管免疫における胆汁酸の役割
免疫学:体液性免疫の性特異的な調節
がん:変異型KRAS特異的阻害剤への抵抗性を解明する
構造生物学:糖尿病治療標的に結合した小分子