Nature ハイライト
Cover Story:よくできた尾:化石から明らかになったスピノサウルスの遊泳と水中での捕食
Nature 581, 7806
表紙は、巨大獣脚類スピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)の想像図である。他の非鳥類型恐竜と同様に、スピノサウルス類も主に陸生であると考えられることが多く、その一部は半水生である可能性が示唆されているが、この考えは論争の的になっている。今回N Ibrahimたちは、水中での推進に適していると思われる特異な形状の尾を有するスピノサウルスの化石を提示している。この化石は、モロッコ南東部の9700万年前のケムケム地層で発見されたもので、これまでにアフリカ本土で発見されたものの中で最も完全な白亜紀の獣脚類の骨格である。その柔軟な尾には、極めて長い神経棘があり、広範な左右運動が可能であったと思われる。著者たちによるモデル研究は、この尾がかなりの推進力を生み出したことを示唆しており、スピノサウルスが現代のワニ類と同じような方法で水中を移動していた可能性を示している。
2020年5月7日号の Nature ハイライト
原子物理学:パイ中間子ヘリウム原子
精密測定:多価イオンの重さを測る
ナノスケール材料:2層グラフェンにおけるねじれ角の変動の画像化
物性物理学:垂直熱電発電
流体力学:固体壁を用いずに流れを導く
神経変性:APOE4は早期のBBB崩壊と認知機能低下の原因となる
神経科学:軸索再生におけるハンチンチン遺伝子の役割
幹細胞:再プログラム化によって光受容器を置換する
植物科学:siRNAと植物のストレス応答
疫学:小児期の予防接種が抗生物質消費量に及ぼす影響
膵臓がん:膵臓がんでは、オートファジーを介する機構により腫瘍が免疫を回避する