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Cover Story:よくできた尾:化石から明らかになったスピノサウルスの遊泳と水中での捕食

Nature 581, 7806

スピノサウルス(<i>Spinosaurus aegyptiacus</i>)の想像図。この大型獣脚類恐竜は、水中ロコモーションに適した独特な形状の尾を有していたことが、今回明らかになった。
スピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)の想像図。この大型獣脚類恐竜は、水中ロコモーションに適した独特な形状の尾を有していたことが、今回明らかになった。 | 拡大する

Credit: Davide Bonadonna

表紙は、巨大獣脚類スピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)の想像図である。他の非鳥類型恐竜と同様に、スピノサウルス類も主に陸生であると考えられることが多く、その一部は半水生である可能性が示唆されているが、この考えは論争の的になっている。今回N Ibrahimたちは、水中での推進に適していると思われる特異な形状の尾を有するスピノサウルスの化石を提示している。この化石は、モロッコ南東部の9700万年前のケムケム地層で発見されたもので、これまでにアフリカ本土で発見されたものの中で最も完全な白亜紀の獣脚類の骨格である。その柔軟な尾には、極めて長い神経棘があり、広範な左右運動が可能であったと思われる。著者たちによるモデル研究は、この尾がかなりの推進力を生み出したことを示唆しており、スピノサウルスが現代のワニ類と同じような方法で水中を移動していた可能性を示している。

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