Nature ハイライト
疫学:小児期の予防接種が抗生物質消費量に及ぼす影響
Nature 581, 7806
抗菌薬耐性の出現頻度の増加が認められたことで、耐性の選択と闘うための公衆衛生戦略を見つけ出し、それに投資する努力が促されている。ワクチンは、抗生物質の投与につながる感染症を防ぐことによって、抗菌薬耐性の出現抑制に大きく役立っていると広く考えられているが、これまで明確に実証されたことはなかった。今回J Lewnardたちは、大規模な家庭調査で得られたデータを使い、肺炎球菌ワクチンとロタウイルスワクチンが低・中所得国の5歳以下の小児での抗生物質使用に与える影響を見積もり、ワクチン接種によって抗生物質使用がどの程度避けられるのかを調べた。これらのワクチンの現在の使用によって、低・中所得国の小児での抗生物質が投与される病気の発症が毎年2200万例程度防がれていることが、今回の解析で実証された。また、このような影響も、低・中所得国がユニバーサルワクチンカバレッジの目標を達成できた場合に防止できる抗生物質使用量の半分に過ぎないことも明らかになった。
2020年5月7日号の Nature ハイライト
原子物理学:パイ中間子ヘリウム原子
精密測定:多価イオンの重さを測る
ナノスケール材料:2層グラフェンにおけるねじれ角の変動の画像化
物性物理学:垂直熱電発電
流体力学:固体壁を用いずに流れを導く
神経変性:APOE4は早期のBBB崩壊と認知機能低下の原因となる
神経科学:軸索再生におけるハンチンチン遺伝子の役割
幹細胞:再プログラム化によって光受容器を置換する
植物科学:siRNAと植物のストレス応答
疫学:小児期の予防接種が抗生物質消費量に及ぼす影響
膵臓がん:膵臓がんでは、オートファジーを介する機構により腫瘍が免疫を回避する