Nature ハイライト
膵臓がん:膵臓がんでは、オートファジーを介する機構により腫瘍が免疫を回避する
Nature 581, 7806
膵臓がんでは、オートファジーが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子と抗原提示を減らすことで、免疫回避が促進されることが分かった。今回、A Kimmelmanたちがその仕組みについて報告している。オートファジーの積み荷受容体であるNBR1は、MHCクラスI抗原の選択的な取り込みとその減少に関わっていることが明らかになった。オートファジーを阻害すると、細胞表面のMHCクラスIタンパク質の量が増えて抗原提示が改善され、CD8+ T細胞が仲介する強力な抗腫瘍免疫応答が誘導された。さらに膵管腺がんの前臨床モデルでは、オートファジーの阻害と免疫チェックポイント阻害剤とが協働的に作用することが実証され、今回の知見が治療に関連する可能性が示された。
2020年5月7日号の Nature ハイライト
原子物理学:パイ中間子ヘリウム原子
精密測定:多価イオンの重さを測る
ナノスケール材料:2層グラフェンにおけるねじれ角の変動の画像化
物性物理学:垂直熱電発電
流体力学:固体壁を用いずに流れを導く
神経変性:APOE4は早期のBBB崩壊と認知機能低下の原因となる
神経科学:軸索再生におけるハンチンチン遺伝子の役割
幹細胞:再プログラム化によって光受容器を置換する
植物科学:siRNAと植物のストレス応答
疫学:小児期の予防接種が抗生物質消費量に及ぼす影響
膵臓がん:膵臓がんでは、オートファジーを介する機構により腫瘍が免疫を回避する