Nature ハイライト
原子物理学:障壁の下をのぞく
Nature 583, 7817
量子力学によると、粒子は、古典的には通過不可能なエネルギー障壁をトンネリングできる。この現象は十分に立証されており、無数の微視的で観測されている。依然として不明確で直観に反している側面の1つは、特定の粒子がトンネリングするのにかかる時間で、瞬間的な事象である可能性も示唆されている。今回R Ramosたちは、ルビジウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体が厚さ1.3 μmの光学障壁をトンネリングする際の、ルビジウム原子を実験的に観測している。原子のスピン歳差を測定することによって原子が障壁領域内で費やした時間の再構成が可能になり、0.61(7) msという有限値が見いだされた。今回の観測結果は、量子力学のいくかの基本的な疑問に取り組むのに役立つ可能性がある。
2020年7月23日号の Nature ハイライト
原子物理学:障壁の下をのぞく
物性物理学:グラフェン中の粘性流を室温で画像化
化学:開裂可能な結合を用いた分解可能な熱硬化性樹脂
歴史気候学:ヨーロッパの河川洪水の異常なパターンの出現
人類の移動:日の目を見たコンティキ号
幹細胞:単一細胞レベルで骨髄再構築を調べる
細胞生物学:加齢の特徴
神経科学:カンナビノイドはアストロサイトでの代謝を介して行動を調節する
生物工学:ミトコンドリアDNAの編集を可能にする
遺伝学:RNAの温度感受性修飾