Nature ハイライト
幹細胞:単一細胞レベルで骨髄再構築を調べる
Nature 583, 7817
骨髄移植の際、造血幹細胞は特殊化した血液細胞を生み出す前駆細胞に分化することで、骨髄を再構築する。単一細胞RNA塩基配列解読研究はこれまでに、さまざまなタイプの血液系細胞の遺伝子発現シグネチャーの特性解析を可能にしてきたが、このようなアッセイは特定の時点における遺伝子発現しか明らかにできず、細胞の過去の履歴や起源についての情報は得られない。F Camargoたちは今回、移植前の単一の造血幹細胞にさまざまな独特のバーコードを導入して、細胞の履歴と遺伝子発現のシグネチャーを結び付けることをできるようにした。これによって、特定の分化能に関連した遺伝子発現変化の調査結果が示されただけでなく、TCF15が造血幹細胞の静止状態と自己再生の調節因子であることが明らかになった。この研究は、骨髄移植の間に起こる細胞分化と関連した遺伝子発現変化の単一細胞レパートリーを提供しており、造血系の主要な調節因子の発見におけるこの手法の有用性を実証している。
2020年7月23日号の Nature ハイライト
原子物理学:障壁の下をのぞく
物性物理学:グラフェン中の粘性流を室温で画像化
化学:開裂可能な結合を用いた分解可能な熱硬化性樹脂
歴史気候学:ヨーロッパの河川洪水の異常なパターンの出現
人類の移動:日の目を見たコンティキ号
幹細胞:単一細胞レベルで骨髄再構築を調べる
細胞生物学:加齢の特徴
神経科学:カンナビノイドはアストロサイトでの代謝を介して行動を調節する
生物工学:ミトコンドリアDNAの編集を可能にする
遺伝学:RNAの温度感受性修飾