Nature ハイライト
化学:開裂可能な結合を用いた分解可能な熱硬化性樹脂
Nature 583, 7817
熱硬化性プラスチック(熱硬化性樹脂)は多くの用途に広く用いられているが、架橋したネットワークであるため、熱可塑性樹脂のように溶融させて再利用することができない。そのため、材料の再利用や再処理における課題となっている。今回J Johnsonたちは、架橋部ではなくポリマー鎖(骨格)に開裂可能な化学結合を組み込むことによって、熱硬化性樹脂のポリジシクロペンタジエンにある程度の再利用可能性と再処理可能性を持たせる方法を報告している。こうした樹脂は、必要に応じて分解可能で、可溶性の生成物を生じる。この生成物は、再重合すると元の材料と同様の特性を持つ材料になる。この戦略は、適切な化学結合を組み込むことができれば、他の熱硬化性樹脂系にも応用できる可能性がある。
2020年7月23日号の Nature ハイライト
原子物理学:障壁の下をのぞく
物性物理学:グラフェン中の粘性流を室温で画像化
化学:開裂可能な結合を用いた分解可能な熱硬化性樹脂
歴史気候学:ヨーロッパの河川洪水の異常なパターンの出現
人類の移動:日の目を見たコンティキ号
幹細胞:単一細胞レベルで骨髄再構築を調べる
細胞生物学:加齢の特徴
神経科学:カンナビノイドはアストロサイトでの代謝を介して行動を調節する
生物工学:ミトコンドリアDNAの編集を可能にする
遺伝学:RNAの温度感受性修飾