Nature ハイライト
コロナウイルス:SARS-CoV-2の新しい変異株に関連した死亡リスクの上昇
Nature 593, 7858
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の新しい変異株(VOC 202012/01またはB.1.1.7と呼ばれる)は、2020年の晩夏から初秋にかけて英国で現れた。この変異株は、従来のSARS-CoV-2よりも高い伝播性を示す。今回N Daviesたちは、この新たな変異株は死亡リスクの上昇にも関連することを報告している。この新たな変異株では、その特異な変異によって、このウイルスのスパイク遺伝子を標的としたPCR増幅が妨げられるが、他の遺伝子の増幅は可能で、これを利用したSGTF(S gene target failure)によって評価できる。著者たちは、SARS-CoV-2の検査結果と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡の大規模データベースを解析することにより、SGTFの見られる症例では死亡リスクが高まると推定しており、これは55~69歳の男性で、検査で陽性判明後28日以内に死亡する絶対リスクが0.6%から0.9%へ上昇したことに相当する。
2021年5月13日号の Nature ハイライト
電気化学:多層固体電池におけるデンドライト成長抑制
合成:有機分子から窒素を削除する
大気化学:雲中での酸生成
遺伝学:GWASバリアントを解釈するABC
微生物学:ソルビトールの利用がディフィシレ菌に優位性を与える
コロナウイルス:SARS-CoV-2の新しい変異株に関連した死亡リスクの上昇
医学研究:クローン病における異常な組織修復と繊維症
がん:腫瘍微小環境での栄養素の分配
発生生物学:HP1はゲノムのオーガナイザーである
構造生物学:DNA末端の橋渡し