Nature ハイライト

神経科学:嗅覚系における、時間情報を用いたにおい源の識別

Nature 593, 7860

においは乱流プルームに乗って運ばれ、そうしたにおいの変動は原理上、におい源の成分や位置についての豊富な情報を含んでいる。しかし、哺乳類の嗅覚系がこの情報を読み取っているのかどうか、読み取っているとすればどのように読み取っているのかについては明らかになっていない。A Schaeferたちは今回、非常に短い時間間隔で発せられるにおいパルスが、マウスの嗅覚受容器ニューロンで特異な応答を引き起こすこと、また、マウスは同様の時間スケールのにおいの時間的相関を識別できることを示している。こうした時間的相関は、におい物質の発生源が同一か異なるかを予測でき、マウスが実際に、においの時間的構造を用いて空間の情報を抽出していることが示された。今回の研究は、哺乳類の嗅覚系が、におい物質に関する予想以上に高速な時間的情報を利用可能なことを実証しており、これが動物に、におい源の識別や図地分離、においの位置特定といった行動上の能力を付与している可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度