Nature ハイライト
神経科学:嗅覚系における、時間情報を用いたにおい源の識別
Nature 593, 7860
においは乱流プルームに乗って運ばれ、そうしたにおいの変動は原理上、におい源の成分や位置についての豊富な情報を含んでいる。しかし、哺乳類の嗅覚系がこの情報を読み取っているのかどうか、読み取っているとすればどのように読み取っているのかについては明らかになっていない。A Schaeferたちは今回、非常に短い時間間隔で発せられるにおいパルスが、マウスの嗅覚受容器ニューロンで特異な応答を引き起こすこと、また、マウスは同様の時間スケールのにおいの時間的相関を識別できることを示している。こうした時間的相関は、におい物質の発生源が同一か異なるかを予測でき、マウスが実際に、においの時間的構造を用いて空間の情報を抽出していることが示された。今回の研究は、哺乳類の嗅覚系が、におい物質に関する予想以上に高速な時間的情報を利用可能なことを実証しており、これが動物に、におい源の識別や図地分離、においの位置特定といった行動上の能力を付与している可能性がある。
2021年5月27日号の Nature ハイライト
天文学:惑星環境下の水素–ヘリウム相の挙動のマッピング
複雑系科学:人はめったに遠くまで出掛けない
進化学:アスガルド類アーキアの新たなメタゲノム再構築ゲノム
神経科学:嗅覚系における、時間情報を用いたにおい源の識別
コロナウイルス:COVID-19の肺の地図
生理学:微生物がもたらす行動の変化
免疫学:健康と疾患における、組織をまたいだ繊維芽細胞の多様性
がん:フェロトーシスの新しい調節因子
細胞生物学:秩序正しく細胞を除去
幹細胞:脂質代謝と発生を結び付ける
構造生物学:ヒトガスダーミンDの高分解能クライオ電子顕微鏡構造