Nature ハイライト
生理学:微生物がもたらす行動の変化
Nature 593, 7860
栄養失調は差し迫った世界的な健康問題である。これまでの研究から、腸のマイクロバイオームと宿主の栄養状態が互いに影響し合っていること、また、動物は食餌由来のタンパク質が不足すると、非必須アミノ酸を含む食餌よりも必須アミノ酸を含む食餌を好むようになることが示されている。今回G Suhたちは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において、行動の変化につながり、部分的に腸の微生物相によって駆動されるアミノ酸感知機構を明らかにしている。食餌由来の必須アミノ酸や微生物相によって産生される必須アミノ酸が欠乏したハエでは、Gcn2経路やTor経路を介して、中腸前部の腸細胞での神経ペプチドCNMアミド(CNMa)の発現上昇が起こり、これが次いで、CNMa受容体を発現するニューロンの活動を介して摂食行動を調節することが示された。
2021年5月27日号の Nature ハイライト
天文学:惑星環境下の水素–ヘリウム相の挙動のマッピング
複雑系科学:人はめったに遠くまで出掛けない
進化学:アスガルド類アーキアの新たなメタゲノム再構築ゲノム
神経科学:嗅覚系における、時間情報を用いたにおい源の識別
コロナウイルス:COVID-19の肺の地図
生理学:微生物がもたらす行動の変化
免疫学:健康と疾患における、組織をまたいだ繊維芽細胞の多様性
がん:フェロトーシスの新しい調節因子
細胞生物学:秩序正しく細胞を除去
幹細胞:脂質代謝と発生を結び付ける
構造生物学:ヒトガスダーミンDの高分解能クライオ電子顕微鏡構造