Nature ハイライト
ナノフォトニクス:自己集合によるカシミール微小共振器
Nature 597, 7875
微小共振器は、間隔がマイクロメートルオーダーの2枚の高反射ミラーによって形成され、これによって、強い光閉じ込めや、共振器内部の材料との光–物質相互作用が可能になっている。微小共振器の作製に必要なナノ構造の微細加工工程や組み立て工程には、複雑な実験設定が必要になる場合がある。こうした中、T Shegaiたちは今回、ナノスケールの金の薄片であるナノフレークにおいて、上のフレークが下のフレークの上に接触せずに「浮揚」して安定な対を形成するのを観察し、微小共振器が溶液中で自己集合によって形成されることを報告している。ナノフレークによって作られた微小共振器の安定性は、カシミール引力と静電反発力の間の平衡に基づいている。この平衡は、さまざまな手段によって制御でき、得られた調整可能な微小共振器によって、共振器がもたらす用途に新たな機会が得られる。
2021年9月9日号の Nature ハイライト
天文学:天の川銀河に落下するガスの不完全な混合
ナノフォトニクス:自己集合によるカシミール微小共振器
材料科学:細胞に似た無生物構造の作り方
エネルギー科学:採取できない化石燃料
神経科学:社会的孤立と睡眠と代謝の新たな関連性
発生生物学:ヒト腸管の単一細胞アトラス
生理学:骨格幹細胞は骨と造血系の老化に関与する
代謝:フルクトースは腸での脂質吸収レベルを高めることで肥満症と腫瘍増殖を促進する
コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導されるスパイク特異的CD8+ T細胞応答
がん:HPV陽性頭頸部がん患者の腫瘍に見られるウイルス特異的抗体