Nature ハイライト

代謝:フルクトースは腸での脂質吸収レベルを高めることで肥満症と腫瘍増殖を促進する

Nature 597, 7875

フルクトースの摂取は、肥満症やいくつかのがんと関連付けられている。今回M Goncalvesたちは、その原因となる機構を調べ、マウスに高フルクトース食を与えると、腸絨毛の長さが伸びることを明らかにした。こうした腸の表面積の拡大により、脂質吸収が促進され、その結果、体重増加と脂肪過多が進行した。分子レベルでは、フルクトース由来の代謝物であるフルクトース1-リン酸(F1P)が代謝酵素PKM2(ピルビン酸キナーゼのM2アイソフォーム)を阻害し、それによって腸細胞の生存が促進されることが分かった。従って、F1Pの産生を阻害したりPKM2を活性化したりすると、フルクトースが誘導する腸絨毛の伸長が抑えられ、脂質吸収と肥満症が軽減した。さらに、腸でのがんのマウスモデルに高フルクトース食を与えると腫瘍増殖が促進され、これはPKM2の活性化によって防ぐことができた。

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