Nature ハイライト
生理学:骨格幹細胞は骨と造血系の老化に関与する
Nature 597, 7875
成体の骨には、骨や軟骨や間質組織を生み出す能力を持つ骨格幹細胞の集団が含まれている。今回C Chanたちは、マウスにおいて、老化が骨格幹細胞にどのように影響を与えるかについての包括的な解析と、骨や血液の健康に対する機能的関連について報告している。老化によって、骨格幹細胞の機能が変化し、骨や軟骨を形成する能力が失われる一方、造血系の老化を促す炎症促進性の間質細胞が生み出されるようになることが明らかになった。老齢マウスで骨格幹細胞の若齢状態を促進させると、骨再生が改善されることも分かった。まとめると、今回の研究から、老化が幹細胞に影響を及ぼす仕組みや、それが器官の生理学に影響する仕組みについての手掛かりが得られた。
2021年9月9日号の Nature ハイライト
天文学:天の川銀河に落下するガスの不完全な混合
ナノフォトニクス:自己集合によるカシミール微小共振器
材料科学:細胞に似た無生物構造の作り方
エネルギー科学:採取できない化石燃料
神経科学:社会的孤立と睡眠と代謝の新たな関連性
発生生物学:ヒト腸管の単一細胞アトラス
生理学:骨格幹細胞は骨と造血系の老化に関与する
代謝:フルクトースは腸での脂質吸収レベルを高めることで肥満症と腫瘍増殖を促進する
コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導されるスパイク特異的CD8+ T細胞応答
がん:HPV陽性頭頸部がん患者の腫瘍に見られるウイルス特異的抗体