Nature ハイライト
エネルギー科学:採取できない化石燃料
Nature 597, 7875
地球温暖化を産業革命前と比べて1.5°Cに制限する取り組みを追求するというパリ協定の誓約にもかかわらず、化石燃料はエネルギーシステムを支配し続けている。今回D Welsbyたちは、世界エネルギーシステムモデルを用いて、1.5°Cの炭素収支内にとどまる可能性を50%にするには、石油と化石メタンガスの60%近くと石炭の90%を地中にとどめておくべきであることを見いだしている。著者たちはまた、全世界で石油とガスの生産を2050年まで毎年3%削減する必要があると見積もっており、これに則すれば、現在進行中あるいは今後計画されている化石燃料プロジェクトの多くは実行できなくなる。
2021年9月9日号の Nature ハイライト
天文学:天の川銀河に落下するガスの不完全な混合
ナノフォトニクス:自己集合によるカシミール微小共振器
材料科学:細胞に似た無生物構造の作り方
エネルギー科学:採取できない化石燃料
神経科学:社会的孤立と睡眠と代謝の新たな関連性
発生生物学:ヒト腸管の単一細胞アトラス
生理学:骨格幹細胞は骨と造血系の老化に関与する
代謝:フルクトースは腸での脂質吸収レベルを高めることで肥満症と腫瘍増殖を促進する
コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導されるスパイク特異的CD8+ T細胞応答
がん:HPV陽性頭頸部がん患者の腫瘍に見られるウイルス特異的抗体