Nature ハイライト

医学:マラリア原虫の遺伝的多様性

Nature 487, 7407

東南アジアでは、主要な抗マラリア薬アルテミシニンに対する耐性を持つ熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)が広く出現しつつあり、マラリア根絶をめざして抗マラリア薬の使用が増えたことが、単純に薬剤耐性の増大につながった可能性が懸念されている。こうしたリスクを監視していくには、原虫個体群における遺伝的変化の調査が重要である。今回、アフリカ、アジア、オセアニアで集められたほぼ300例の臨床血液標品、および培養単離株から得られた熱帯熱マラリア原虫のゲノムが、次世代塩基配列解読法を用いて直接解析された。これらのデータを用いて、さまざまな地域の原虫個体群の多様性に加えて、宿主内での多様性が全ゲノムレベルで解析され、これが薬物耐性の出現に重要な同系交配速度の推定に使える可能性が明らかになった。

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