Nature ハイライト
構造生物学:Frizzled受容体の構造
Nature 560, 7720
Frizzled受容体はWntシグナル伝達の重要な構成要素で、7回膜貫通タンパク質であるためにクラスFのGタンパク質共役受容体ファミリーに属していると考えられている。F Xuたちは今回、Frizzed 4受容体(FZD4)膜貫通ドメインについて、リガンドが遊離した状態の結晶構造を報告している。FZD4には、GPCRとしては異例な特徴が複数あり、その1つである狭くて親水性の結合ポケットはFrizzledファミリーを通して保存されていて、これがGPCRリガンドの設計をこれまで困難にしてきたと思われる。分子動力学シミュレーションからも、他のGPCRとは異なる活性化機構が示された。この構造は、リガンドが遊離したGPCRの構造として解かれた最初のものに当たると思われ、これまで欠けていたFrizzled受容体の活性を調節する化合物発見の基盤となるだろう。
2018年8月30日号の Nature ハイライト
基本定数:重力定数が真の値に近づく
神経科学:セロトニンの放出はマウスの社会性を高める
構造生物学:転写複合体の停止状態と活性化状態の構造
天文学:120億年前の星形成
核物理学:中性子過剰核の内部
地球物理学:地震の余震の位置を予測する
免疫学:結核の潜在期から活動性疾患期への移行の理解
細胞生物学:機械的合図の変換
構造生物学:Frizzled受容体の構造