Nature ハイライト
細胞生物学:機械的合図の変換
Nature 560, 7720
哺乳類の細胞では、細胞外マトリックス(ECM)からの機械的シグナルは細胞内へと伝達され、YAPとTAZという、Hippoシグナル伝達カスケードの一部として働く2つの転写コアクチベーターを調節する。しかし、この経路を構成する分子のいくつかは、まだ明らかになっていない。K Guanたちは今回、そのような空白のいくつかを埋め、この経路について最も完全な全体像を明らかにしている。低硬度のECMや細胞接触に応答して、酵素ホスホリパーゼCγ1(PLCγ1)がホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PIP2)とその産物であるホスファチジン酸(PA)という膜の2種類のリン脂質のレベルに影響を及ぼす。続いてこのリン脂質レベルが、タンパク質PDZGEF1およびPDZGEF2と、Ras関連GTPアーゼであるRAP2を調節する。その後、この活性型RAP2がMAP4K4、MAP4K6、MAP4K7、ARHGAP29といった酵素に結合してこれらを活性化し、その結果、酵素LATS1とLATS2の活性化や、YAPとTAZの阻害が起こり、ECM硬度応答性のトランスクリプトームが変化するのである。
2018年8月30日号の Nature ハイライト
基本定数:重力定数が真の値に近づく
神経科学:セロトニンの放出はマウスの社会性を高める
構造生物学:転写複合体の停止状態と活性化状態の構造
天文学:120億年前の星形成
核物理学:中性子過剰核の内部
地球物理学:地震の余震の位置を予測する
免疫学:結核の潜在期から活動性疾患期への移行の理解
細胞生物学:機械的合図の変換
構造生物学:Frizzled受容体の構造