Nature ハイライト
微生物生態学:バチルス属細菌は病原性黄色ブドウ球菌の定着を排除する
Nature 562, 7728
今回、哺乳類の腸において病原体を排除するための新しい機構が報告されている。クオラムセンシングは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が腸に定着するために不可欠だが、バチルス(Bacillus)属細菌が分泌するリポペプチドfengycin類によって阻止されることが示された。fengycin類はクオラムセンシング阻害因子として機能し、マウスの腸に黄色ブドウ球菌が定着するのを阻止した。これらの知見は、タイ農村部の住民において、バチルス属細菌が定着している人には黄色ブドウ球菌が定着していない理由の説得力のある説明になると考えられる。さらに、バチルス属細菌は、この日和見病原菌に対するプロバイオティクスとして使用できるかもしれない。プロバイオティクスであるバチルス属細菌が感染を制限できる機構を解明することで、抗生物質に依存しない新しい治療法を開発するための道が開かれる可能性がある。
2018年10月25日号の Nature ハイライト
太陽物理学:長期間にわたる太陽ニュートリノの詳細な観測
固体地球科学:隕石衝突構造にピークリングを作った強度の大きな岩石
持続可能性:食料需要が環境へ及ぼす影響の評価
がん:急性骨髄性白血病治療に有望な基盤
微生物生態学:バチルス属細菌は病原性黄色ブドウ球菌の定着を排除する
生化学:p300アセチルトランスフェラーゼの活性化
天文学:ハッブル定数は5年間以内に精度よく決まる
化学生物学:メチオニン部位でのタンパク質官能基化
神経科学:神経変性における老化細胞の役割
発生生物学:生殖細胞の数を適正に保つ
腫瘍免疫学:LILRB4は腫瘍細胞の浸潤を誘導する