Nature ハイライト
太陽物理学:長期間にわたる太陽ニュートリノの詳細な観測
Nature 562, 7728
太陽やそれより低質量の星は、そのエネルギーの大部分を陽子–陽子(pp)核融合チェインから得ている。ニュートリノは、pp過程や、陽子–電子–陽子(pep)という3体間の反応過程で放出される他、2次的な反応の分岐であるpp-II過程とpp-III過程でもそれぞれ7Beニュートリノと8Bニュートリノが放出される。Borexino実験の液体シンチレーターは2007年から太陽ニュートリノを検出し続けており、今回Borexinoコラボレーションは、完全なppチェインを初めて同時分光測定したことを報告している。著者たちは、ppニュートリノ、7Beニュートリノ、pepニュートリノの相互作用率を高精度で測定し、太陽の温度プロファイルが、表面の高い重元素率を仮定した太陽モデルと整合することを示唆する証拠を提示した。こうした結果は、太陽物理学だけでなくニュートリノ物理学にも重要になると思われる。
2018年10月25日号の Nature ハイライト
太陽物理学:長期間にわたる太陽ニュートリノの詳細な観測
固体地球科学:隕石衝突構造にピークリングを作った強度の大きな岩石
持続可能性:食料需要が環境へ及ぼす影響の評価
がん:急性骨髄性白血病治療に有望な基盤
微生物生態学:バチルス属細菌は病原性黄色ブドウ球菌の定着を排除する
生化学:p300アセチルトランスフェラーゼの活性化
天文学:ハッブル定数は5年間以内に精度よく決まる
化学生物学:メチオニン部位でのタンパク質官能基化
神経科学:神経変性における老化細胞の役割
発生生物学:生殖細胞の数を適正に保つ
腫瘍免疫学:LILRB4は腫瘍細胞の浸潤を誘導する