Nature ハイライト
Cover Story:ロボット古生物学:羊膜類化石のロボットモデルが示唆する初期の四肢類の歩行様式
Nature 565, 7739
四肢を持つ脊椎動物が初めて陸に上がったときに、その歩様が具体的にどのように進化したのかを解明するのは、化石に保存されている情報量が少ないことが多いために困難である。今回J Nyakaturaたちは、羊膜類のステムグループの一種であるOrobates pabstiの推定される歩行様式を、リバースエンジニアリングで再構築した結果を報告している。今回Orobatesが選ばれたのは、全身の完全な化石が、歩行の際に足が置かれた場所を捉えた行跡(連続した足跡)の化石とともに保存されているためである。著者たちは、Orobatesと行跡の化石をデジタル化して、運動学的シミュレーションと動的シミュレーションを行い、妥当と思われる歩様を特定した。次に、この結果を、Orobatesの実用模型を作って検証した。その結果、Orobatesのロコモーションは、初期の四肢類にこれまで想定されていたものと比べて、より直立的でバランスの取れた、機械的に省力化された高度なものであったことが示された。これは、高度なロコモーションが羊膜類の多様化に先行した可能性を示唆している。
2019年1月17日号の Nature ハイライト
構造材料:結晶に学んだ骨格構造体の高強度化
進化遺伝学:正常な食道組織におけるがん変異
構造生物学:HIVが共受容体と結合する過程を可視化する
天文学:GRB 171205A/SN 2017iukにおけるジェットのコクーン
物性物理学:ワイル軌道に沿った量子化ホール伝導率
物性物理学:ベリー曲率双極子による非線形ホール効果
発生生物学:ヤツメウナギの耳の中
神経科学:閉ループの電気的な神経調節
分子生物学:アクチンのメチル化機構の解明
構造生物学:RNAポリメラーゼの構造が示すプロモーター融解