Nature ハイライト

Cover Story:ロボット古生物学:羊膜類化石のロボットモデルが示唆する初期の四肢類の歩行様式

Nature 565, 7739

四肢を持つ脊椎動物が初めて陸に上がったときに、その歩様が具体的にどのように進化したのかを解明するのは、化石に保存されている情報量が少ないことが多いために困難である。今回J Nyakaturaたちは、羊膜類のステムグループの一種であるOrobates pabstiの推定される歩行様式を、リバースエンジニアリングで再構築した結果を報告している。今回Orobatesが選ばれたのは、全身の完全な化石が、歩行の際に足が置かれた場所を捉えた行跡(連続した足跡)の化石とともに保存されているためである。著者たちは、Orobatesと行跡の化石をデジタル化して、運動学的シミュレーションと動的シミュレーションを行い、妥当と思われる歩様を特定した。次に、この結果を、Orobatesの実用模型を作って検証した。その結果、Orobatesのロコモーションは、初期の四肢類にこれまで想定されていたものと比べて、より直立的でバランスの取れた、機械的に省力化された高度なものであったことが示された。これは、高度なロコモーションが羊膜類の多様化に先行した可能性を示唆している。

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