Nature ハイライト
発生生物学:ホルモンと転写因子との間のネットワーク形成
Nature 565, 7740
Y Helariuttaたちは今回、植物の維管束組織である木部と師部を生み出す組織である前形成層において、肥大(側方)成長がどのように開始されるかを調べている。彼らは、根の前形成層組織において、植物ホルモンのサイトカイニンに応答して初期の原生師部要素(PSE)細胞の周囲で成長が始まり、それがPEARタンパク質と呼ばれる新しいグループの転写因子の発現を促進することを見いだした。細胞間移動性のPEAR転写因子はその後、PSEにおいて最大値をとる短距離濃度勾配を形成し、肥大成長を促進する遺伝子の発現を活性化する。それらはまた、別のホルモンであるオーキシンに応答する、より内側にある分裂しない前形成層細胞において、HD-ZIP IIIと呼ばれる異なるグループの転写因子の発現を増強する。その後、HD-ZIP IIIタンパク質は負のフィードバックループを介してPEARタンパク質の発現や機能と拮抗する。こうしたホルモンと転写因子によるネットワークが、根の前形成層内部の静止細胞領域と分裂細胞領域の境界を決定している。
2019年1月24日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:嗅覚受容体の選択
構造生物学:GABAA受容体の構造
天文学:反復新星を取り巻く巨大な空洞
画像化技術:隠れた物体を見る
発生生物学:維管束形成層の組織化
発生生物学:ホルモンと転写因子との間のネットワーク形成
生化学:Treg機能の代謝調節
免疫学:HIVはメチルトランスフェラーゼを動員して自然免疫による感知を免れる
幹細胞:糖尿病性血管症のモデル系としての血管オルガノイド
骨発達:代謝を骨の生理機能に結び付ける