Nature ハイライト
幹細胞:糖尿病性血管症のモデル系としての血管オルガノイド
Nature 565, 7740
糖尿病は、あらゆる血管疾患において最も強力なリスク要因の1つであり、これは主に慢性的な高血糖が内皮基底膜の肥厚や血管細胞死を引き起こすためである。糖尿病のマウスモデルは数多く存在するが、基底膜の肥厚など、ヒト糖尿病の臨床的特徴を完全に再現するモデルはない。J Penningerたちは今回、改良された方法を用いて、ヒト誘導多能性幹細胞から内皮細胞と周皮細胞で構成される血管オルガノイドを作製した。得られたヒト血管オルガノイドを免疫不全マウスに移植したところ、安定な血管樹が形成された。一方、これらのオルガノイドをin vitroで、あるいは糖尿病マウスの高グルコース環境に曝露すると、糖尿病患者に見られるような肥厚した血管基底膜を生じた。著者たちは、開発したオルガノイドが糖尿病性血管症の研究に適していることを示すとともに、これを用いてDLL4とNOTCH3が糖尿病性血管疾患の重要なトライバーであることを明らかにしている。
2019年1月24日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:嗅覚受容体の選択
構造生物学:GABAA受容体の構造
天文学:反復新星を取り巻く巨大な空洞
画像化技術:隠れた物体を見る
発生生物学:維管束形成層の組織化
発生生物学:ホルモンと転写因子との間のネットワーク形成
生化学:Treg機能の代謝調節
免疫学:HIVはメチルトランスフェラーゼを動員して自然免疫による感知を免れる
幹細胞:糖尿病性血管症のモデル系としての血管オルガノイド
骨発達:代謝を骨の生理機能に結び付ける