Nature ハイライト

細胞生物学:小胞体関連分解のミトコンドリア版

Nature 569, 7758

ミトコンドリア外膜では、TOM複合体が、細胞質で合成された約1000種のミトコンドリアタンパク質を運び込む搬入口として働いている。ミトコンドリアタンパク質の運び込みがうまく機能しないと、タンパク質毒性ストレスが引き起こされる可能性があり、細胞の品質管理機構がこれを防いでいるらしい。小胞体での品質管理は小胞体関連分解(ERAD)経路によって行われているが、これと似た装置がミトコンドリアへのタンパク質運び込みの円滑な進行を確保するために同様の働きをしていることを、T Beckerたちが今回報告している。すなわち、非ストレス条件下の酵母では、ERAD経路のUbx2タンパク質がミトコンドリアにも存在していて、TOM複合体に結合できることが明らかになった。Ubx2は、ERAD経路で一緒に働いているタンパク質のいくつかをミトコンドリアに引き寄せ、TOM複合体を継続的に監視して、搬入中に移動が停止した前駆体タンパク質の除去を促進する。著者たちはこの経路を、mitoTAD(mitochondrial protein translocation-associated degradation;ミトコンドリアタンパク質の移動に関連する分解)と命名している。

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