Nature ハイライト
実験物理学:熱的な音のホーキング放射
Nature 569, 7758
スティーブン・ホーキングは1974年、量子効果によって、ブラックホールが真っ黒ではなく、実際にはある種の放射を放出することを示した。これは現在、「ホーキング放射」として知られている。ブラックホールのエントロピーとホーキング放射は、同一温度になるはずであると考えられており、これは表面重力によって与えられる。そうした効果を天体物理学的に観測することはできないかもしれないが、類似した系でホーキング放射の物理を測定することはできるはずである。今回J Steinhauerたちは、極低温原子を使って、音に関してブラックホールに類似したものを作り出して、このブラックホール類似体の内外でのホーキング放射の相関を実験的に測定し、ホーキング理論が予想するように、ブラックホール類似体には熱スペクトルがあり、その温度が表面重力によって与えられることを示している。
2019年5月30日号の Nature ハイライト
がん:神経前駆細胞による腫瘍への浸潤
細胞生物学:小胞体関連分解のミトコンドリア版
実験物理学:熱的な音のホーキング放射
量子物理学:共振器QEDを再考する
エレクトロニクス:ロボットにヒトに似た触覚を
神経科学:小脳ニューロンにおける学習によって誘導されるクロマチン再編成
免疫学:TBK1–STING相互作用の構造基盤
がん:がん関連繊維芽細胞の代謝調節因子
発生生物学:LADの集合
分子生物学:ゲノムの組織化