【遺伝】DNAデータから明らかになった現代米国の人口構造
Nature Communications
2017年2月8日
70万人以上の米国人のDNA情報と家系情報をもとに独立後の米国における人々の移動と定住の細かいパターンが詳しく解明された。今回の解析では、さまざまなレベルの人口構造が判明し、それが数多くの地理的要因と文化的要因によって形作られていることが明らかになった。こうした人口構造の解明は、これまで難しかった。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。
植民地時代以前の北米の人々については、かなり詳細な研究が行われているが、それ以降の時代の人口構造の評価は難航している。今回、Catherine Ballの研究チームは、米国生まれの約77万人のDNA解析を行い、ユーザーが作成した家系データも利用して、それらの人々の血縁ネットワークを再構築した。その結果、移住前の祖先の遺伝的特徴、例えば中西部におけるスカンジナビア系とフィンランド系の人々(過去150~200年以内に米国に移住した人々)のクラスターが見つかった。また、これらのデータは、東西勾配と南北勾配に沿った移住と定住を示しており、米国移住後に地理的理由または文化的理由で孤立状態が続いた集団、例えば、中西部各州とペンシルベニア州内で生活するアーミッシュ派の人々の存在を明らかにしている。
今回の研究では、北米でヨーロッパ系の人々が定住した後の人口構造の変化に関する人口統計学的知見が得られたが、それに加えて、こうしたクラスターにおいて、さまざまな疾患に関連する遺伝子バリアントのパターンも同定された。しかし、北米の人々における遺伝病のリスクの詳細なパターンに関する臨床的に重要な知見を得るには、疾患に関連する遺伝的多様性をもっと包括的に調べる必要がある。
doi:10.1038/ncomms14238
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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