Nature ハイライト
構造生物学:PIEZOが力に応答する仕組み
Nature 573, 7773
PIEZO1とPIEZO2は哺乳類のイオンチャネルで機械刺激によって活性化され、機械力の電気シグナルへの変換に重要な役割を担っている。この働きには、触覚や呼吸などの多様な生理的過程が含まれている。これらのチャネルの構造についてはある程度の情報が得られているが、力に応じてチャネルが開く仕組みはまだ解明されていない。今回S ScheuringとR MacKinnonたちはクライオ(極低温)電子顕微鏡と高速原子間力顕微鏡を使って、PIEZO1が膜の湾曲状態と張力に応答する仕組みを明らかにしている。お椀形をしたこのチャネルは、このような力によって平たい円盤状になることが分かり、この過程に関わる力の大きさが推定できた。今回の研究ではPIEZO1チャネルの状態は確定できなかったが、このチャネルが哺乳類の細胞膜中で機械力が加えられた場合にそれを感知してゲートを開閉(メカノゲーティング)する仕組みが示唆された。
2019年9月12日号の Nature ハイライト
材料科学:アーキテクテッド・マテリアルの新しい方向
古人類学:新たに発見された380万年前の頭蓋が明らかにするアウストラロピテクス属の起源
構造生物学:触覚が生じる仕組み
構造生物学:PIEZOが力に応答する仕組み
天文学:銀河系中心で噴き出すバブル
ナノスケール材料:ナノスケールでのグラフェンの振動のマッピング
化学:偏った決定
社会科学:オンライン憎悪の復元力
発生生物学:ビタミンCはマウスの繁殖力を高める
ウイルス学:A型インフルエンザウイルスのポリメラーゼの高分解能構造
構造生物学:哺乳類ミトコンドリアに含まれるプロトン輸送性トランスヒドロゲナーゼの構造と作用機構