Nature ハイライト

化学:偏った決定

Nature 573, 7773

データ駆動型の化学合成や材料合成のアプローチの方が、時間、装置、試薬の不足の影響を受ける可能性がある人間の実験者、あるいは単にデフォルトとして「お決まり」の試薬、合成プロトコル、溶媒を持っている人間の実験者が探索するよりも、徹底的でバイアスの少ない化学反応空間探索が可能になると暗に期待されている。しかし、機械学習法が、学習の元となるデータのバイアスを受け継いでおそらくそれを増幅させることを示す証拠がどんどん増えている。これは、機械学習法による材料発見にも当てはまるのだろうか。今回J Schrierたちは、アミンを鋳型とする金属酸化物という具体的な事例について、実際に文献で「よく見かける」試薬と「あまり見かけない」試薬が存在するにもかかわらず、こうした選好性は本質的な反応傾向を反映しないことを示している。従って、反応条件探索の場合、文献マイニングに基づくコンピューターによる方法では、元データに人為的なバイアスが内在するため化学空間の一部を見落とす可能性がある。

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